119人が本棚に入れています
本棚に追加
辛うじて動く舌で指を押し返そうとするも、神楽の人差し指と中指はそれをかき分けるようにして容易く喉の奥深くにまで侵入してくる。指が舌の根元にまで達すると、嘔吐感を催すも吐き出すだけの力は無く、そのまま薬を飲み下してしまう。
神楽は、またゆっくりと冬吾の口内から指を引き抜いた。
「くくっ……まさか君に、指までしゃぶらせる羽目になろうとはな?」
神楽は愉快そうに笑いながら、取りだしたハンカチで唾液の付着した指を拭う。
「なんの……つもりだ……こんな、こと……」
必死に言葉を吐き出す。神楽の返答は、冷淡だった。
「だから、言っただろう? また、君を騙したんだよ」
「なん……で……」
睡眠薬の影響が早速出始めたのか、意識が朦朧とし始める。
最初のコメントを投稿しよう!