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「……ないよ」
「はい?」
声が小さくて聞き取れなかった。
「だから……女向けのは置いてないよ、うちは」
「ああいや、そうじゃなくて……お話を聞かせてもらいたいんだけど」
「なに?」
「これ、見てもらえる?」
美夜子は千裕の手帳を開き、『11/20 午前2時 地下室の夜景 待ち合わせ 名護』と書かれた部分を店員の男に見せる。
「ここにある日付は、四年前の十一月二十日を指しているの。それで、横に書いてある『地下室の夜景』って、ここのことだよね? それに午前二時はまだ営業時間内。その日、ここで待ち合わせをしていた人たちがいたはずなんだけど……何か覚えてないかな? 騒ぎやトラブルがあったりしなかった?」
「知らない」
即答だった。
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