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「い、いやほら……よく思い出してみてよ。四年前のことだから、忘れてるかもしれないけど……」
「じゃあ忘れた。覚えてない」
「ぬぬ……!」
素っ気ない態度に思わず襟首を掴み上げてやりたくなったが、ギリギリ抑える。落ち着け志野美夜子。普通は四年も前のことを言われたってすぐには思い出せないだろうし、この人はたまたまその日、店にいなかったのかもしれない。
「他の店員さんの話も聞いてみたいんだけど……」
「ここの店員は俺だけ。店開いた六年前からずっと」
「ま、まじで……」
これは困った。この店員から有力な情報は引き出せそうにない。
後ろにいた乃神が言う。
「待ち合わせといっても、店内でとは限らないだろう。店の前で落ち合うくらいの意味だったのかもしれん。というかそもそも、こんな店で待ち合わせというのが釈然としないぞ。何かの間違いなんじゃないか?」
「う~ん、あたしもそんな気がしてきた……」
仮にここで二人が待ち合わせをしていたのだとしても、その後で場所を移動したのだったらここの店員が覚えていなくても当然だ。
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