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「あっれぇー? はずしちゃったわ。おかしいなぁ」
矢の飛んできた方向から、男の声がする。車の停めてある通りへの道を塞ぐように、複数の男たちが佇んでいた。
「なんだよ全然当たってねーじゃん。下手くそかー?」
「いやいや、野良猫とか酔っ払いのおっさんに撃つときはいつも百発百中なんだって! マジで!」
「うわひっでー!」
男たちは下品に笑い合っている。……何なのだろう、こいつらは?
人数は七人、いずれも二十歳前後の若者ばかりだ。男たちの風体からして、この辺のギャングか何かだろうか……。
「あれ? っていうかよく見たら……女の子超カワイイじゃん?」
「うーん? ……うおっマジだ!」
「だったらべつに殺さなくてもさー、捕まえて俺たちで楽しんでもいいんじゃね?」
「それいいねー、採用!」
不穏な台詞が聞こえた。さっきのボウガンは、やっぱり殺すつもりで撃ってきていたのだ……!
「禊屋、逃げろ」
織江が美夜子を引き起こしつつ、男たちには聞こえないような小声で言う。
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