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織江は無理やりに男の襟首を引き寄せ、抑揚のない声で言った。
「おい。まさかこれで終わりだとか思ってるんじゃないだろうな? 私がそんなに優しそうな女に見えたか?」
すると織江は右手で男の左耳を掴み、頬に左手を添えて顔の位置を固定する。男は、自分がこれから何をされるかを理解して狼狽した声を上げた。
「やっ……やめ――!」
織江は無視して、男の左眼に右手の親指を一気に突き入れる。耳をつんざかんばかりの男の絶叫が広がった。
織江は眼窩から親指を引き抜くと、今度は右手で男の顔を固定して、左手を右目の前で構える。
「お、おい嘘だろ!?」
男たちの中から動揺の声が上がる。互いの仲間意識はそれほどでもないのか、それとも単に怖じ気づいているだけなのかはわからないが、男を助けようと動く者はいない。
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