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「さて……と」
織江は立ち上がって周囲を見回す。一気に静かになった。このチンピラどもから話を聞く必要があるのだが……全員意識を失っているようだ。少しやりすぎたか?
……もう一度頭を蹴っ飛ばしたら起きたりしないかな。織江は倒れた男に近づいて『軽く』頭を小突こうとする。
その時、闇夜の静寂が乱れた。音――銃声だ。そう遠い音ではない。方向は――禊屋たちの逃げた先。
「しまった……!」
『本命』はあっちか!
織江は自分のミスに気づいて、すぐにその方向へ走り出した。
――迂闊だった……! 何でもっと早く気がつかなかったんだ! 最初からもっと怪しいと疑うべきだった。そうしていれば……いや、そんなことを考えるのは後だ。
無事でいてくれよ、禊屋……!
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