第五章――凶なる襲撃

23/46
前へ
/729ページ
次へ
「さて……と」  織江は立ち上がって周囲を見回す。一気に静かになった。このチンピラどもから話を聞く必要があるのだが……全員意識を失っているようだ。少しやりすぎたか?  ……もう一度頭を蹴っ飛ばしたら起きたりしないかな。織江は倒れた男に近づいて『軽く』頭を小突こうとする。  その時、闇夜の静寂が乱れた。音――銃声だ。そう遠い音ではない。方向は――禊屋たちの逃げた先。 「しまった……!」  『本命』はあっちか!  織江は自分のミスに気づいて、すぐにその方向へ走り出した。  ――迂闊だった……! 何でもっと早く気がつかなかったんだ! 最初からもっと怪しいと疑うべきだった。そうしていれば……いや、そんなことを考えるのは後だ。  無事でいてくれよ、禊屋……!
/729ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加