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「何気なくすれ違って、後ろから一発! それで終わりのはずだったんだが、まさかそっちのほうから話しかけられるとはね。これなら問答無用で正面から撃っちまったほうが良かったか。ま、あんたがずっと怖い顔で睨んでたからそれも無理だったかな?」
男は半笑いの表情で話す。追い詰められているはずなのに妙に余裕ぶった態度だ。
「……さっきの連中は貴様の差し金か? 囮として使ったんだろう?」
乃神が尋ねると、男は悪びれもせず頷いた。
「ああ、俺が命令したのさ。アンタらを殺すか、もしくはサイドテールの女だけでも足止めしろってね。金を渡して、死体の処理もこっちでするって言ったらあいつらホイホイ言うこと聞くから簡単だったぜ。護衛のあいつさえ引っぺがしゃあ後はラクショーだと思ったんだけど……なかなか上手くはいかないねぇ」
護衛の織江を引き離すことまで計算に入れた策だったのか……危なかった。
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