第五章――凶なる襲撃

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 乃神は更に男に尋ねた。 「貴様は殺し屋だな。どこの所属だ? 誰の命令で動いている?」  男は笑って、 「はっ! おいおい、やめてくれよ。俺は一応プロなんだぜ? 命乞いしなきゃなんねぇような状況でも、雇い主の名前だけは言わねぇよ」 「ふん……そうか。ならば精々覚悟しておくんだな。後で『いい』目に遭わせてやる」 「ははっ、そりゃあ今から楽しみだなぁ」  ……この男の余裕はどこから来ている? 単に場慣れしているだけなのか、虚勢を張っているだけなのか……。 「とりあえず、その銃を地面に捨ててもらおうか。トリガーに指を掛けた時点で撃つ、余計なことは考えるなよ」 「捨てりゃあいいのかい? 気に入ってたんだけどなぁ、これ。はぁ……わかったよ」  男の表情に注目していた美夜子は気づく。男はその時、微かに笑ったのだ。
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