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二人のサンタ
師走に入って一週間ほど経ち、関東平野には冷たい空っ風が吹きつけている。
しかし、どこもかしこも寒くて乾いているわけではない。
熱く、湿った部屋もある――。
「……晃司さん、これやっぱり……サイズ合ってないですよぉ」
2DKのアパートの室内は暖房が効き、これから始まるラブラブな時間に男たちの心と体が熱くなっているはずだが――脱衣所からベッドのある部屋に戻ってきた堂本大輔(どうもとだいすけ)の目は、少し冷めていた。
「ポンチョ? タイプだから上はなんとか着れましたけど……下は、パツンパツンでウエスト締まらないです」
大輔はため息を吐き、自分を嫌そうに見下ろした。見るからに安物の赤い衣装は、一応、クリスマスのサンタクロースを意識したものだ。フードのある赤いフワフワのポンチョは、ボンボンのついた紐を首元で結んでギリギリ着られているが、丈が短いのでヘソが出てしまいそうだ。
さらに下に目を向ける。下半身の――真っ赤なスカートは、フレアータイプでも男の大輔が着るには細すぎて、腰までスカートを上げるだけで一苦労だった。もちろん、ウエストは締まらず、後ろについたファスナーは半分も上がっていない。
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