二人のサンタ

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「なんで俺は、女性用なんですか?!」  ベッドに座った――オジサンサンタを、恨めしそうに睨む。 「大輔なら俺より細いから、着れると思ったんだけどなぁ。でも、パツンパツンもいいぞ~。ミニスカートが余計にミニになってる」  自分は男性用のサンタの衣装を身に着けた――小野寺晃司(おのでらこうじ)は、年下の恋人の“初”コスプレにご満悦だ。 「パンツ見えそうなのが、最高」  鼻の下を伸ばし、目尻をだらしなく下げる年上の恋人に、大輔は特大のため息を吐いた。 「そりゃ、パンツも見えそうになりますよ。普通のボクサーパンツなんだから」 「ああそっか! 俺としたことがツメが甘かった! パンツも女物買っておけばよかった!」  クソ! と悔しがりながらも、晃司はニヤけたままだ。スケベな顔で、大輔を手招きする。  下半身がスースーして照れ臭いのだが、これ以上スケベなサンタを喜ばせるのもシャクなので、不機嫌そうにしながらオヤジサンタのところに向かう。     
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