二人のサンタ

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 ベッドと小さなタンス、それにクローゼットしかない質素な部屋は、晃司のアパートの一室だ。晃司のアパートは2DKの間取りで、この部屋以外に小さなキッチンのあるダイニングと、ソファとテレビを置いてリビングのように使っている部屋がある。  どこも独身男性の部屋らしく、必要最低限の家具しかなく、意外と散らかってはいないのだが、殺風景だ。しかし、ベッドの頭の上の小さな出窓に、二人のサンタの衣装と同じぐらい安っぽい、そして見失いそうなほど小さなツリーを見つけて、大輔の口元が綻ぶ。  同じものが、玄関の靴箱の上、それから椅子が一脚しかないダイニングテーブルの上、それに隣のテレビボードの端にもあった。  晃司は大輔の――恋人のために、彼なりにクリスマスの演出をしてくれているのだ。  大輔がベッドのそばに立つと、晃司はベッドの真ん中に胡坐した。大輔はベッドに上がると、晃司の足を挟んで膝立ちし、恋人をそっと抱きしめた。 「お? さすがサンタさん、サービスがいいなぁ」 「ちょっと早いですけど……一応、今日はクリスマスデート、ですから」  体を少し離し、晃司の顔を見つめる。晃司はサンタの帽子を被っており、噴き出しそうになったが堪えて――キスをした。  唇が重なると、強く抱きしめられた。熱い舌がすぐに大輔の中に入りたがって、大輔も拒む気などないから、キスはあっという間に情熱的なものになった。     
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