二人のサンタ

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「うちの近くの、でっかいド〇キだよ。そこでも風俗嬢かよっていう、もっとエロいサンタコスが売ってたけど……大輔にはハードルが高いかなって、ちょっと控えめなのにしたんだぞ。超ミニになったのは想定外だったけど」  晃司がニヤニヤしながら、スカートから覗く大輔の太ももと撫で上げる。クリスマスデート、ということでその手は叩かなかった。 「晃司さんが、コスプレ好きなんて知りませんでした。Hなビデオは、素人ナンパものが多いって言ってたし」 「お前がイヤがるかなぁ、と思って遠慮してたんだよ、コスプレは。これからもちょいちょいリクエストするから、イヤじゃなかったら付き合えよ。次は正月に……着物とか?」 「着物って……着るだけでも大変そう。それに、正月もどうせ出勤じゃないですか」  二人の初めてのクリスマスは、イブも当日も、二人とも仕事になった。だからまだ十二月も初めだが、休みが重なった今日、クリスマスデートをすることにしたのだ。  二人が所属するS県警察荒間署活安全課は、原則カレンダー通りの休日だ。しかし、年末年始はそうはいかない。全国の警察がそうであるが、この時期が一年で最も忙しいのだ。  特に、荒間署のように繁華街や歓楽街を抱えた警察署は、連日連夜、酔っ払いやボッタクリ店の従業員が連行されてきて留置場は常に満杯、通報の電話は鳴りやまず、人手はいくらあっても足りなかった。     
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