二人のサンタ

6/17
前へ
/165ページ
次へ
 大輔たち保安係も十二月になってからは、毎晩交代でパトロールに出ている。そのため、十二月だけはシフト制勤務になり、夜勤も増える。クリスマスイブは二人とも夜勤になったし、その前も休みや非番が重なる日はほとんどなかった。 「そうなんだよなぁ、年末年始、忙しいのはわかってんだけど……初めてのイブぐらい恋人らしく過ごしたかったよ、俺は」  似合わないセリフを真剣に話す晃司が可愛くて、大輔は思わず晃司の頬にキスをした。 「でも俺は、二人とも出勤で嬉しいですよ? どっちか一人だけ非番とか休みじゃ、逆に寂しいし。仕事で忙しくても、クリスマスは晃司さんと一緒にいられるんだし」  大輔が素直になると、晃司がお返しとばかりに、大輔の頬に唇を寄せた。大輔よりは大分強めに――。 「そうだけどさぁ……署でコンビニのケーキ食うぐらいしかできないんだぞ? あ、でも、今年は桂奈が、駅向こうの新しいケーキ屋で買いたいとか言ってたな」 「それ! さっき食べたケーキですよ。桂奈さん、そのお店のこと気になってるみたいだから、後で味の報告しないと。美味しかったですよね?」  一応クリスマスデートなので、コスプレの前に、デパ地下で買ったワインと高い惣菜で簡単なディナーをしたり、お洒落ケーキを食べたりもした。 「だからお前、ケーキ食う時、妙に真剣だったのか。人の話聞いてなかったし」     
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!

131人が本棚に入れています
本棚に追加