131人が本棚に入れています
本棚に追加
「すいません、俺もあのお店、ずっと気になってたんで。……て、俺たち、初めてのクリスマスを堪能してませんか?」
大輔は本気でそう思ったのだが、晃司が怪訝そうに眉を寄せる。
「うちの狭いアパートで、えっらく質素なクリスマスでも、か? お前……金のかからない、財布に優しい恋人だね」
よしよし、と頭を撫でられたが、少し馬鹿にされた気がして、大輔は不服げに頬を膨らませた。
「男二人なんだし、これぐらいがちょうどよくないですか? 男二人でお洒落イタリアンとか、目立ってしょうがないだろうし……俺、そんなにメンタル強くないし。……て、晃司さん?」
大輔の話の途中で、なにか思い出してニヤつく晃司をジッと見つめる。
「昔……学生の時な、男二人でイルミネーション見にいったの、思い出した」
「……大学生の時、付き合ってたっていう、同級生ですか?」
なぜか大輔は、前に晃司から、晃司の恋愛遍歴を聞かされている。体の関係を持った相手は、晃司本人も全ては把握できおらず、恋愛関係にあった、もしくは何度か関係を持った相手――風俗関係は除く――の話を聞いたことがある。
その中に、何人か気になる人がいる。一人は、晃司が男性で初めて付き合ったという、大学時代の恋人だ。
最初のコメントを投稿しよう!