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「お前の気持ちもわかるけど……初めての、クリスマスだぞ? 大輔、本当にプレゼントもいらないのか?」
尖った大輔の唇に、晃司の唇がチュッと重なる。もう機嫌の悪いフリは続かなかった。大輔は晃司にギュッと抱きついた。
「だって欲しいもの、ないんですもん。それに俺、もともとクリスマスとかのイベントに、盛り上がるタイプじゃないんです。晃司さんもそうでしょ?」
少し、嘘をついた。欲しいものはあるのだが、それはあまりに趣味に偏ったもので、恋人にねだるものとしては違う気がしたし――なにより、簡単におねだりできる金額ではなかったのだ。
「でも俺は、年下のイケメン彼氏におねだりされたかったなぁ。プレゼントぐらいさせろよ。今時の若者はマジで物欲ないよなぁ」
「そんなこと言って、晃司さんもなにもいらないって言うじゃないですか。ゴルフのクラブセットも、結局自分で買っちゃったし」
大輔は、クローゼットの脇に立てかけられた、真新しいゴルフバックを睨んだ。
「だって俺が欲しいやつ、高かったんだよ。ダメだよな、男って。大して上手くもないのに、道具にばっか拘っちゃって。……なぁ大輔、やっぱりお前もゴルフ始めろよ、俺のお古やるから。そしたら、スパイクかグローブは新しいのをプレゼントする」
「え~、ゴルフ、ですかぁ?」
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