先生

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「まあそう落ち込まないで……君もそういう年頃なんだし、むしろそんな振られ方をして今日これだけ集中」 「ちーがーいーまーすー!剣の事で落ち込んでるんです!別に僕はナンパも口説きもしてないし振られても無いですから!」 つい声を荒げて喋ってしまった。 本人は剣の事にしか興味ない癖に、他人の事となるとすぐこういう恋愛至上主義的な発想に行きつくのが僕の先生の苦手な所だ。 おっと、ごめんごめん、といった様子で先生が謝る。しかしその目は僕が今日どんな子と会ったのか、その子とどうだったのか、何があったのか、という事で興味津々でキラキラ、であるが。 さっきも言った通り、自分の恋愛には一切興味が無い癖に、他人の恋愛にはこうも思いっきり首を突っ込もうとしてくるから非常に質が悪い。 「いやね?生徒には師範として剣の道は勿論の事ながらやはり剣という物を扱う人としての道も導いやらなくてはうんたらかんたら」 なんて言ってるが、多分本人が面白そうだから関わりたいだけである。勿論それも本心ではあるのだろうが……。
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