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目覚めの良い朝……窓からベッドへ射し込む光が、
僕の瞼を気持ちよく持ち上げてくれる。
ああ……こんな目覚めの良い朝は久しぶりだ。今日は何か良いことがありそうな気がする。
明るい予感と共に、僕はパジャマを普段着に着替え、一階への階段を降りる。
ギシギシと木の板が軋む感触にすら心地よい朝を感じる。
「おはよう。」
一階に降りてそう言うと、
キッチンで階段に背を向けて調理器を洗っていた母さんがこっちを向いた。
母さんはいつも僕より早く起きて、僕が目覚める前にご飯を作っておいてくれる。
「お、今日はちょっと早いじゃん?」
「うん……ていうか、そんな事よりお腹すいたよ~。」
「ハイハイ、朝御飯出来てるよ。……テーブルついて、はよ。」
……木製の大きな四脚テーブル、の側に置いてある木製の古椅子。
……に座り、新品の木製の食器の上に盛られた朝食……木製ではない。をもくもくと食す。
底の平らな白い丸器にたっぷりと盛られた、真っ白いマグマのようなあつあつのシチュー……。
それにこんがりと良いにおいのする焼き立てのパンを浸す……。
ふちがかりかりに焼けた良い色合いのベーコンととろとろに半熟に出来上がった目玉焼き……。
その味の小気味良さ……目覚めの良い朝にふさわしい素晴らしい組み合わせだなあ……。
そんな事を考えながら心地よい朝の食事を味わっていると、
既に洗い物を終えて一緒のテーブルに着いていた母さんが不意にすっとんきょうな声を上げた。
「そうだ。今日は魔術学校は休みだけど、先生の朝の剣術稽古があるからちゃんと行きなよ?」
「分かってるよ。」
実際の所は、今さっき言われるまで完全に忘れていたのだけれど……。
しかしそこで素直に、
「今しがたまで忘れておりました、
教えてくださりありがとうございますお母様神様御天道様」というのも面白くない。
なのでこうして「分かってるよ。」と言う訳なのである。
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