3人が本棚に入れています
本棚に追加
え?女の子じゃない……?
一瞬の思考停止の後、あ、そういう事も世の中ありますねと一人納得。
「あ、男の子だったんだ?女の子が押し倒されてるのかと思って超焦ったよ~!いやーでもまさかこんな美少年がこの世にいるとは思わ」
「男でもない。」
……あー、そういう複雑な事って世の中ありますよねー。うんうん。
「そうじゃなくて」
「今もしかして僕の心読んだ!?」
「顔を見れば大体分かる……!俺は今は純粋に性別が無いんだ。つまり人間として男の機能も女の機能も持ってない。それだけだ。じゃあな。俺にもう関わらない方がいい」
そういって去ろうとする肩を僕は咄嗟に掴んだ。
「ちょ、ちょっと待った!そんな事言われたらなんか色々気になるだろ!それに君は多分僕と同い年だろ?ほら、その制服……。ほっとけないよ!」
「ハァ……さっきの見ただろ?俺と関わると色々面倒だ。だからもう関わるな。感謝してほしいのなら礼は言う。だからほっといてくれ。それに……俺には人に助けてもらう資格なんてない……!」
そう言うと肩を捻って僕の手を振りほどこうとする。
「分かった!じゃ、じゃあせめて名前だけでも教えて!僕の名前はクラウス!ラビア魔術学校の9年生、君の隣町の……!」
そこまで言った所で肩から手が外れ、少女……いや……本人の言う事が本当なのであれば無性の彼は森の向こうの方へ走っていってしまった。
「……綺麗な髪だったなあ。」
いや、僕は何を言っているんだ。
気付くと心臓の鼓動が速くなっていた。きっとドキドキしたからだ……何にだ?
あいつは自分の事を「俺」と言っていた……。
男でも女でもないとは言っていたけど、それならきっとあいつは「男」なんだろう。……でも。
「なんだ…この感じ…?」
僕は暫くの間動けないまま立ちすくんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!