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出会い
ふと気づく。
――なにかがくる
[ソレ]は(またか)と思う。
いったいどれだけの『ひと』というものが欲を満たすためにここに来るのか。
長い時のほとんどをそこで過ごし、拒むこともなく人の言うままに動く[ソレ]に、考えるということが生まれたのはほんの130年くらい前のことだ。
どうやって生まれたのか、なぜ存在するのか。自分も知らず、知る者もいない。果たして生き物と言えるのかどうかも分からない。
[ソレ]はいつの間にか嫌悪を知り、好むということを覚えた。今は好奇心というものも生まれている。
望まれるように姿が変わる。身を犯され、子どもを産まされ、または産ませて。時には食われ、或いは戦いの化身と化し。逃げることもせずただその時々の長の要求に応え、従う。
そして存在が壊れれば再生し、また呪詛を掛けた鎖に繋がれる。
――今日は食べられるのか。身を任せるのか。
[ソレ]はただじっと待つのだ。
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