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なんだか全身が重い。首元もくすぐったい。
何事かと思って身をよじろうとしても、体がうまく動かない。
俺は重い重い瞼をゆっくりと開けると、見覚えのありすぎるクリーム色の髪が視界いっぱいに広がっていた。
「……南?」
どうして南が俺の家にいるんだろうとか、勉強はどうしたのかとか、ていうか南まじで久しぶりあー南の匂いだとか。
もしかして南不足すぎて夢にまで出てきた?うわ、そしたら俺もう末期。
寝起きでまた頭が回転してないのにいろんなことが入って来て、軽く混乱状態。
「んぅ……あ、八雲さん起きた?寝てる八雲さん見てたらオレも眠くなっちゃった」
ふあ~とあくびをしながら南が起きる。
夢じゃなくてよかったと本気で思った…。
「なんで俺の部屋にいるの?」
「ん…なんか、集中できなくて…八雲さんいないとダメみたい」
「もう、ほんとお前かわいい」
南のことを抱きしめようとしたらヒラリとかわされてしまう。
「そ、それより八雲さん!玄関の鍵あいてましたよ!一人暮らしなんだから気を付けてください」
「あー、寝るつもりじゃなかったからな。ごめん、気を付けるよ」
「ちょ、ちょっと待って!」
再び抱きしめようとしたら、南からストップが入った。
1週間ぶりの南を目の前にしてお預けを食らうのは、いい気はしない。
「この1週間、俺深刻な南不足だったんだけど」
「オレだって八雲さん不足でしたよ!でもさ……久しぶりで、なんか……恥ずかしい」
ブチって俺の理性を結びつけていた紐の切れる音が聞こえた。
目の前で顔を赤らめてる南が、ひどく恋しいと感じる。
「南それはかわいすぎ」
「待って、八雲さ――」
「ごめん待てない」
「んっ!……ふっ…ぁっ…」
制止する南を無視して、やや強引にキスをする。
最初は俺の胸を叩いたり押したり抵抗してきたけど、手で頭をしっかり押さえて舌をねじ込んでやったらあっという間に大人しくなった。
「んっ……ぁ……やくもさ……」
ちゅっとわざと音をたてて唇を離して南を見ると、涙を浮かべて期待している瞳と目が合う。
「南……していい?」
「バカ…聞かないで八雲さん…」
南は俺の手をとり、指先にキスをした。
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