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「どうして親に言わないの?」
「今さら言ってどうなるんだよ。他の家に俺が火種を落とす訳にいかねえだろ」
「お姉ちゃんのためにならないじゃない」
「わかってる」
「じゃあどうしてそんなこと許すの?」
「俺がこれを喜んでると思うか? 止めなかったとでも?」
遼太郎の口から答えは得られないと知っていても、私は我慢できずに突っかかってしまう。
「そうじゃないけど、どうして──」
「俺の責任だからだよ。俺が間違ったから」
突然、遼太郎が壊れたように、私を遮って一気に吐き出した。
「言っても言わなくても、どっちにしろ一緒だ。欲しいものを諦めることに変わりはない。だからどうでもよかったんだよ」
次々と吐き出される言葉に追いつけず、ただ驚いて見守る。
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