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しばらく歩いた後、遼太郎は大通りから少し離れた地味な路地にあるバーに入った。
きっとたまに来ている店なのだろう。
遼太郎は迷うことなく店の奥にあるカウンター席に進んだ。
遼太郎の隣に腰かけようとしたら椅子の高さに腰高が足りず、よじ登るような無様な状態になった。
「何にする?」
「うーん……」
一杯付き合えと言われて堂々とついてきたものの、普段、宴会で出てくるビールの泡を舐める程度でお酒はまったく飲まない。
男性とバーに来る機会もあまりなかったので、カクテルは特にわからなかった。
こんなことなら、もっと夜遊びして経験を積んでおけばよかった。
メニューのどこを見ればいいのかもわからずにいると、隣で鼻で笑うような台詞が聞こえた。
「お子様か」
「飲めるよ、お酒ぐらい」
遼太郎は私の反論に取り合わず、バーテンダーに何やら勝手に注文した。
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