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バーの暗さに目が慣れてくると、私は店内を見回した。
全体的に木質感のある店内を観察してから、ウォールナット素材のカウンターを撫でてみる。
少し古びた感じのある、どこか懐かしく温かな空間だった。
ゼネコン勤務ならもっと金属的な質感を好むものと思っていたので少し意外でもあり、どこかで妙に納得もする。
お酒という小道具がない間は重い話を始めづらくて、職業病でもある内装チェックを続けていると、ようやくドリンクが届けられた。
彼の前には水割り、私の前にはオレンジ色のグラスだ。
一口飲んでみると、オレンジに桃の香りもして、甘くてとても美味しい。
「これ、ジュース?」
「アルコールだ」
思わず口を滑らせると、それもわからないのかと言いたげな呆れた顔をされた。
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