未来のない夜

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「簡単に騙されるタイプだな」 「騙されたことはないよ」 しっかり者の姉や市川さんと比べて馬鹿にされているようで、我慢できずに反論する。 昔、〝ガラの悪い男にホイホイついていった〟せいで私の印象は悪いままなのだろう。 でも、今まで無駄に一人で頑張ってきたわけではない。 夜遊びを知らないだけで、それだって一人で生きるために倹約と自律に努めたからだ。 「どうだか。男から見たら隙だらけだ」 遼太郎は水割りを喉に流し込んでから、ボソリとつぶやいた。 「今日は課長じゃなかったんだな」 思わず隣を見たけれど、遼太郎は前を向いたままだ。 やはり遼太郎は私と課長の仲を疑っていたらしい。 〝無知な尻軽〟扱いは変わらない。
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