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「いつもああやって美穂の誕生日を祝ってやってたのか?」
「ううん。いつもはプレゼントを送ってたの。私は関西にいたしね。今年は特別。辛そうだったから……」
遼太郎の言葉がふと気になる。
今年だけでなく、遼太郎は姉の誕生日を祝っていなかったのだろうか。
いったい、いつから?
「あの、お姉ちゃんの相手のこと、知ってるの……?」
おずおずと私が尋ねると、遼太郎はバーテンダーに空になったグラスを掲げて合図しながら答えた。
「会社の上司の、三十代の男らしい」
「上司ってことは、ずいぶん前から?」
「そうだな」
「その人は、り……離婚する気あるの?」
「知らねえよ」
私の質問が不躾すぎたのか、遼太郎は急に不機嫌そうに吐き捨てた後、思い直したように付け加えた。
「ないだろうな。最近、子供が出来たらしいから」
「……」
そこまで知っているということは、遼太郎は姉とまだ続いているのだろう。
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