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だから、このときの私は少し浮かれていたのかもしれない。
ちょうど二人のお盆休みが多摩川の花火大会に当たっていたので、遼太郎を誘ってみようと思い立った。
私からそうしたおねだりをするのは初めてのことだった。
「今週末の盆休みは川越に帰るのか?」
「ううん。帰らないよ」
抱き合った後の甘く気だるいベッドで遼太郎が週末の予定を聞いてきたとき、私はすかさず切り出してみた。
「土曜日は多摩川の花火大会だよ。行ってみようよ」
帰省するより、今は遼太郎と二人でいたい。
夜からそのまま続けて翌日も一緒に過ごすことも多かったし、きっと遼太郎は面倒臭そうな顔をしてみせながら私の願いを叶えてくれるのだと思っていた。
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