二度目の衝撃

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でも、そうして迎えた土曜日はとても空虚だった。 ここしばらく、遼太郎の毎日は仕事と私が大半を占めてきた。 大学時代の仲間やその他にも、遼太郎には私が関わる以外のコミュニティがあるだろうし、そちらを優先する日があって当然だ。 全然構わないし、むしろ過酷な仕事から解放される時間を楽しんで欲しいと思う。 そう思うのに、都合が悪い理由を遼太郎が明かさなかったことが引っ掛かっていた。 普段はなんでもはっきりと口にするのに、妙に彼らしくない気がして、胸騒ぎがするのだ。 忘れたくても避けては通れないのは、姉の存在だった。 遼太郎が理由を言わなかったのは、お姉ちゃんと会うからかもしれない──。 そう思うと自分の優先順位の低さが惨めになる。
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