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一人で部屋にいると、あれやこれやと生産性のない想像や憶測ばかりしてしまう自分にたまりかね、私はバッグに一泊分の着替えと化粧品を詰め始めた。
お盆だし、川越に帰ろう。
関東にいる間に、一度でも顔を見せておかなければ。
そんな理由を並べつつ、卑怯な私は姉が遼太郎とは会わずに自宅にいることを期待していたのかもしれない。
川越で電車を降りると、自宅までの少し長い道のりをバスには乗らずに歩いた。
早く帰りたい訳ではなかったし、これまでは慌ただしい帰省でゆっくり歩くことがなかったので、久々に町の空気を味わいたかった。
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