二度目の衝撃

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「あなたが気に入らないのは知ってるわよ」 隣からはピシリと矢が飛んでくる。 「いや、気に入らないわけじゃ……」 「でもね、じつはあのビルの設計には私も関わってるの。今井くんもね」 最後に出た名前を聞いてぴょこんと顔を上げてしまい、慌てて咳払いをしてごまかす。 「だから、あきらめてちょうだい」 市川さんはこちらを向き、パーフェクトスマイルで釘を刺した。 「分かってます。あのデザインは好きですよ、とても」 そうか、遼太郎も設計に関わっていたのか。 ということは、この間A地区を歩いたとき、私は設計者本人に結構失礼なことを言ってしまったかもしれない。
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