二度目の衝撃

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「でも、誰も気づいてないと思うわ。長年一緒にいると、他の人にはわからない変化にも気づいちゃうのよ」 それから市川さんは「やだ、蚊がいるわ」と顔をしかめ、私を放置してさっさと事務所に戻っていった。 自分から休憩に誘っておいて気ままな人だなと呆つつ苦笑いして、彼女の後ろ姿を見送る。 〝あなたが西岡課長と外出すると、時計ばかり見て仕事が異常に早くなるの〟 それが嫉妬なら、姉ではなく私に向けられたものであって欲しい。 空に手をかざし、真夏の太陽を見上げる。 私の心は最初の戒めを忘れ、光明を探し始めていた。
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