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ところが、ある男性まで行き当たった瞬間、全身の血が凍りついたように感じて、私は思わず視線を机上に逸らした。
一瞬止まった心臓が、今度はすごい速さで打ち始める。
あれは……まさか。
動悸と呼吸を鎮めようと、両手をぐっと握り締める。
円卓のカーブ部分に座る私からやや死角になって見えにくい位置にいる人物の横顔は、遠い過去に私の心の中から消し去った人のそれによく似ていた。
他人の空似かもしれない。
横顔だったし、はっきり見たわけじゃないし……。
でも、もう一度視線を向けて確かめる勇気は出なかった。
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