再会~初恋の残り香

14/35
前へ
/36ページ
次へ
遠く隔たった時間と距離を再び手繰り寄せることになったきっかけは、一か月前に遡る。 それは突然の辞令だった。 「私が、ですか?」 秦野地所関西支社のミーティングルームで、私は西岡課長の顔を穴が開くほど見つめていた。 「どうして選ばれたんでしょう。三年目に入ったばかりで、まだあまり実績がないのに……」 「僕が推薦したんだよ。こんな大きな提携はめったにない機会だし、いい勉強になると思ってね。でも、まさか本当に選ばれると思わなかったなぁ」 西岡課長は朗らかに笑ってから、なかなか信じられずにいる私に笑顔でA4の紙を寄越した。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3322人が本棚に入れています
本棚に追加