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「倉上ホールディングスだ」
聞いた瞬間の心境は、自分でも表現し難いものだった。
私にとってあまり都合の良くない相手なのに、それでいて心を占めるのは不安だけでもない。
この感情は何だろう?
まるで密かに待ち望んでいたものを迎えるような──。
でも、それはすぐに否定した。
もう関係のないことでしょう?
ずっと昔に忘れ、脱皮して、私は自分なりの道を歩いている。
そもそも相手は巨大企業で、社員数は万に届くほどだろう。
奇跡のような偶然を心配するなんて馬鹿げている。
不可解な心の動きを否定しようと私が躍起になっている間も、西岡課長の説明は続いていた。
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