再会~初恋の残り香

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高層階にある会議室の大きな窓からは、東京の街がパノラマのように見渡せた。 高所恐怖症でもないのに胃のあたりがおかしくなりそうで、そそくさと窓から離れて席につく。 名刺、良し。服装──たぶん、良し。 持ち物を点検したり前髪の具合を触って確かめたりしていると、隣の西岡課長が苦笑した。 「及川、落ち着け」 今回、心強いことに直属の上司である西岡課長もプロジェクトメンバーに入っている。 「すみません。こういうの初めてなので緊張しちゃって」 照れ笑いしてきちんと座り直し、会議室の内装を観察して気を紛らわせる。 さすが外部からの客を迎える場所だけあって、高級感のある室内はシンプルながら最新型の装備が揃えられている。
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