再会~初恋の残り香

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「社長だ」 周囲が一斉に立ち上がる音と西岡課長の小声で、私も慌てて立ち上がる。 会議室の前のドアから、両社の社長が連れ立って入ってくる。 自分の会社の社長を間近で見るのすら初めてで、しかも世界に事業を展開する有数のゼネコンである倉上ホールデイングスの社長の姿など、ネットニュースの画像で見たことがあるだけだ。 雲の上の存在と同じ空間にいることの緊張と、それほどこのプロジェクトが重要なものであることを改めて実感した緊張と不安とで、足が震えてくる。 「着席してください」 進行役の合図で再び腰を下ろし、スカートの皺を力を込めて伸ばした。
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