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プロローグ
外はもう日が暮れていた。
夕空の濃い茜色は、もうすぐ季節が変わることを告げている。
晩夏のセミの声に耳を傾けてから思い出が刻まれた町に別れを告げ、私は歩き始めた。
再び出会ったあの日から、初めて抱き合ったあの夜から、失うとわかっていた恋だった。
でも、それがどんなに苦しくても、それがどんなに短い間でも、手を伸ばさずにはいられなかった。
道を間違えたのは、彼じゃない。
罪深いのは、彼を忘れられない、この心──
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