ホワイトさん

　冷たい空気もいくらか丸みを帯び、春の訪れを感じさせるある日曜日の午後、私は父に連れられて知らない人の葬式に来ていた。遺影にはもちろん知らない顔。祭壇の傍にはその家族と思しき人たちが並ぶ。孫だろうか、三歳と五歳くらいの兄妹が退屈そうに足をぶらぶらとさせて、時々お兄ちゃんが妹にちょっかいを出している。
　父の話では、生前故人は私にとてもよく尽くしてくれた人だということだった。