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私は小学生の頃、サンタクロースを信じている同級生を馬鹿だと思っていた。サンタがいるかいないか、小学生にもなってそんなこともわからないだなんて。
小学二年の十二月に、サンタだプレゼントだとはしゃぐクラスメイトにパンチを食らわせて、「サンタなんて馬鹿じゃねえの。お前の父ちゃんがプレゼントを買って、夜中にこっそり置いてんだよ」とネタばらしをして泣かせたこともあった。
幼稚園の先生みたいに優しかった当時の担任の先生も、さすがにこれを見過ごしてはくれなかった。
「マコトくん――」先生は私の手を取り「パンチはダメよ」と、握っていた私の拳を開いた。
「だって、あいつサンタ、サンタ、うるせえんだもん」
「信じるのも信じないのもマコトくんの自由だけど、パンチしてまで友だちが信じているサンタさんをいないって言うのはひどすぎるわよ。マコトくんだって、ホワイトさんがいないって言われた時には怒ってたでしょ」
「ホワイトさんはいるじゃん。サンタはいないじゃん」
自分の信じるもの以外は否定して排除までしていた当時の私は、かなり危険な思想の持ち主だったことがわかる。ただ、その時の私は夢や信条を否定されたから怒ったのではなく、嘘つきのように言われたから怒ったのだ。
「サンタさんだっているかも知れないじゃない」
「ぜーったいにいない」
頑に否定するあたり、まるで歪んだ母子家庭に育った屈折した子どものようだった。
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