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春に近づくと僕の心はそわそわし出し、窓を見ると閉めなくては、と思ってしまう。
その癖との付き合いももう10年になる。“桜アレルギー”が発症したのが、10歳だった。
彼女は、じっと窓を見つめる僕の心理状態を読み取ったかのように、さりげなく言った。
「やっぱり気になる? もうすぐ桜の季節だもんね」
「まぁ」
正直に答えると、彼女は白色のショルダーバックから使い捨てのマスクを取り出し渡してくれた。
「マスク?」
「なんだか顔色も悪いし、マスクでもする? 少しは落ち着くかも」
「ありがとう」
僕はお礼を言って、マスクをかける。
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