第一章

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彼女は僕と同じ大学、同じ学部の生徒だ。 長い黒髪がトレードマークの彼女。背が高く痩せ形で、モデルの様な佇まいをしている。自分の美貌に気付いていると思う。 しかし、飾る事のない性格が彼女の魅力なのだろうと思う。 彼女と知り合ったのは、二年前の4月。大学生になったばかり頃だった。 心理学の講義を受けていた時、大教室の窓際の席に座っていたのが、彼女だった。 彼女は僕と同じ長机の一番端、窓際の席に座っていた。その時の彼女の髪型も黒髪のロングヘアーだった。彼女は長い髪を一つにまとめて、ノートを取っていた。 僕は彼女の横顔を少し眺めてから、そっと声をかけた。 『あの』 『……はい?』 「私?」 と聞きたげな目でこちらを見た彼女。その時の彼女の瞳を今でもよく覚えている。
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