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『手が込んだことをしてごめん。でも俺、どうしても、真理と一緒に花火を見るって言う約束を守りたかったんだ。夏祭りの花火大会が八時になったら始まるから、一番最初の打ち上げ花火の音が聞こえたら、窓を開けて、河川敷の方を眺めて欲しい。俺も、自分の部屋の窓から、同じ花火を見ているから……』
名前はないが誰が送ったものか、真里には直ぐにわかった。何より、母の手をすり抜け、この部屋に思いが届いたことが嬉しかった。
真里は、夕暮れに霞む窓の外を眺めながら、心のなかで呪文を唱えた。
時間よ進め……。
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