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「ぱーぱ、しゃんぽ♪」
「はいはい、碧(あお)たん。ちょっと待ってね」
まだ三歳になったばかりの娘『碧(あおい)』が、早くお外に散歩に行こうよと体をゆすって私を急かす。
今日はクリスマスの前日、所謂クリスマスイブってやつだ。
一カ月以上も前からクリスマス一色だった商店街は、残り一日となったかき入れ時を逃すまいと、通り抜けざまに横眼で眺めてもわかるくらいに多くの人々が行き交い、色とりどりのイルミネーションと飾りに包まれて華やかな活気にあふれていた。
「寒くはないかい碧たん?」
私は碧たんの解けかかったマフラーを結び直しながら聞く。空は晴れているとはいえ、私にはなんだが寒く感じたからだ。
「へいき♪あっちゃかいかや♪」
碧たんは暖かいよといいながら、ニコッとした愛くるしい笑みを私に向ける。
「あっ、けーき!ぱーぱ、けーきあった?」
碧たんは私の袖を引き、商店街の一角にある洋菓子店を指差して言った。
「そうか、ックリスマスだからケーキがいるな。ごめんまだ買ってないや」
「もう、めでしょ!さたんさん、おこうよ!」
プクッと頬を一気に膨らませて、碧たんはプリプリ怒る。うん、サンタじゃなくてサタンに怒られたら敵わないね。
「じゃ、今から買いに行こうか」
「うん♪いく!」
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