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園長室に呼び出された相葉は学園長からローサの失踪を聞かされ困惑していた。
「だが彼女に最後通告を出したのは君であり、桐嶋ローサくんは相葉くん、君の担当の生徒じゃないか」
学園長は大きな体を革張りの椅子に沈めると悠長に葉巻に火をつけて見せた。
相葉は冷静ではいられない。長身の割にやせ型で迫力にかける風貌の男が必死になる。
「警察には連絡したのですか?」
「私には学園の経営がある。ことを荒立てたくはない」
「お言葉ですが実際に人が死ねば親御さんが黙ってはいないでしょう」
「あっはっはっはっ、君は実に胆が小さい。それでも機械工学科の助教授かね」
「どういう意味でしょうか?」
「彼女の自殺は虚言だよ」
学園長は葉巻の煙を吐き出し嫌らしく笑ってみせた。
「電話で母親は酷く慌てていたようだが人間がアンドロイドに殺されることはない」
「と、いいますと……」
「ロボット工学三原則の壁さ」
「あぁ……」
相葉は学園長の言葉に一応の安堵の表情を見せる。
ロボット工学三原則。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
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