アンドロイドは少女を愛す

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第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。 第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。  世界中で採用されているアンドロイド運用の絶対的ルールだ。アンドロイドは人間を殺してはならない。確かにこのルールのなかでは桐嶋ローサは死ぬことは無い。  しかし、だ……。  相葉の考えがまとまる前に学園長は続ける。 「安心されても困る。君の仕事は桐嶋くんの保護だ。多感な時期の少女はアンドロイドを使わなくとも自ら命を絶つことは十分に考えられる。……まあ、本当に不足の事態がおこれば君に一億の金を払ってもみ消すがね。ふふふ……」 「……わかりました」  相葉は探偵ごっこを引き受けるしかなかった。この男は冴えないジョークで何人もの若い科学者の首を切ってきた前例がある。  それ以上に桐嶋ローサと言う少女を追い込んだ原因が相葉自身にもあるという負い目を感じていたからだ。 ■ □ ■ □ ■  科学と未来の融合を謳う学園の中庭には立派な植物園があった。そこを十字の形に貫く遊歩道とカラフルなミニバラで作られた草花のアーケードは入学パンフレットにも載る学園の象徴的な場所だった。     
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