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ローサの視線が彼らに向かったとき、少年たちの仲間が少女の鞄を盗んだ。
「へへへへ、もぉ~らい!」
傍らのフレンズは少女を守りもしなかった。
ロボット工学三原則、第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。人間を守るルールはならず者すらも守るのだ。
「くだらない奴ら」
ローサは必死に怒りを抑えた。感情を爆発させると心臓に負担が掛かってしまう。
ローサは幼少期の交通事故により、心臓にペースメーカーを入れ、頭の一部に脳内電子チップを埋め込んでいた。
アシモフ機械工科大学付属学園高校。その名の通り未来の機械工学エリート研究員を排出するために作られた私立高校。だがその実情と言えば虚栄心と嫉妬に狂った物たちの巣窟と言うほうが適切だった。
「フレンズ、体の汚れは自分で落とすのよ」
ローサは髪の汚れをハンカチでふき取るとフレンズを家へ帰らせ一人で学園へ向かう。それは彼女の優しさでもあった。
学園でもローサへの嫌がらせは続く。彼女は体にハンディを抱えていたが得意の勉学では優秀な成績を収めていた。
少年たちにはそれが鼻についた。
円形ホール型の教室で講義が始まるとレポートの提出があった。担当の相葉は全てのレポートを集めるなかでローサのレポートが無いことに気づいた。
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