雪晴の朝に君と。

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これなら多少寒くても良いからハンモックで眠った方がましっ。 そう思って起き上がろうかと思った時だった。 「……夢芽?もう寝た?」 彼が私の名を呼ぶ。 ドキリと心臓が跳ね上がったけれど、私は身動きせずに寝た振りを決め込んだ。 「……何だ、もう眠ったのか。……そうだよな」 はあっとため息を吐いて「俺だけだよな」と独り言を言いながらむくりと起き上がる気配。 私は起きているのがばれないようにと固く目を瞑る。 やがてドアの開く音が聞こえるとすぐにパタンと閉ざされた音が響いた。 しんと静まり返った部屋。 その静寂が重々しい。 彼の寝ていた場所にそっと手を伸ばし温もりを探す。 彼の体温。 いつもここで一人で眠ってるのかぁ。 どんなこと考えながら眠りにつくんだろ。 その中に少しは私も登場する? 私はするよ。 いつも寝る前、叶多くんを想いながら眠りにつく。 そうすると、すっと眠れちゃう。 なのに今日は、想えば想うほど眠くならない。
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