雪晴の朝に君と。

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……。 彼が中々戻ってこない事に漸く気付く。 かれこれ一時間は経っただろうか。 いつまでも戻って来ない彼。 叶多くん、私と寝るの嫌だったのかな……。 だから、下に行ったのかな? ぱたん……ぱたんとシーツに涙が落ちる音が聞こえた。 途端に顔がくしゃっと崩れた。 クリスマスに……どうして私一人、こんなに切ない気持ちで溺れてしまいそうなのかと、悲しくて寂しくて堪らなかった。 声が漏れないようにと静かに泣いて、やがてしゃくりあげながら私は起き上がった。 いつまでも戻って来ないということは、彼はハンモックで眠ってるはず。 カフェには膝掛けがあるだけで、他に掛けるものなんて無いと、漸く気付いたから。 様子を伺いながら羽毛のふかふかな布団とふわっふわの毛布とを抱え込むと暗闇の中静かに階段を降りていく。
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