第ニ章

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 私は大学からも塾からも離れた所にある洋食屋を見つけて、そこに保科先生を誘うことにした。  初めて送るメール。私は何度も何度も書いては消してを繰り返し、 『お疲れ様です。佐倉です。 R通り沿いの洋食のお店「ひなたぼっこ」さんはどうですか? 地下鉄の駅の近くなので、駅から出たところで待ち合わせはどうでしょう?』  と必要最低限のことのみを書いて送信した。  保科先生は仕事中かもしれないから、早い返事を期待してはならない。自分に言い聞かせて、スマホから意識を遠ざけるためにもバッグの底にスマホを押し込んだ。
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