第ニ章

13/19
前へ
/58ページ
次へ
「美味しかったですね。ここは私が払います」  会話らしい会話が弾まないまま食べ終えると、先生は言った。私は食べようと思っていたケーキを追加で頼むことが出来なかった。頼んでも美味しく食べられなかっただろうからこれでよかったのかもしれない。 「ありがとうございます。ごちそう様です」  私は先生に一礼して、駐車場へ向かった。保科先生とランチしたこと、よかったのか分からなくなっていた。自分で自分の印象を落としただけだ。これでは。  先生が来て車のロックを外す。 「まだ少し時間はありますか?」  先生の言葉に私は、「え?」と顔を上げる。 「はい、45分ほどなら」 「少しドライブしましょう」  先生は微笑んでそう言うと車を出した。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加