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「どこに行くんですか?」
私は先ほどの空気をそのまま持ってきてしまって、おそるおそる尋ねた。
「どこに行こうかな。佐倉は行きたいところはありますか?」
先生はそんな私を気にしていないようだった。
「その……気まずくならないならどこでもいいです」
「気まずくならない?」
ここで初めて先生は私の様子に気付いたようだ。
「はい」
先生は小さくため息をついた。
「私が変なことを聞いてしまったせいかな、佐倉が気まずいのは」
保科先生は気落ちしたように言った。
「いいえ! 私が自分のことを話し過ぎたのがいけないんです。きっと先生は私のこと、酷い女だと思ったでしょう? 事実なので仕方ないことですが……」
私は慌てて返す。不安が言葉からだだ漏れだった。
「……この話は運転しながらするものじゃなさそうですね。近くに湖がありましたね。その駐車場に停めましょう」
保科先生はふうとため息をつくと、湖のある山の方に車を進めた。
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